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梅宮辰夫さんが手術した十二指腸乳頭部がんとは

小高雅人・佐野病院消化器がんセンター長

 先月、俳優の梅宮辰夫さんが「十二指腸乳頭部がん」で10時間を超える手術を受けられた、というニュースが流れ、話題になっていました。しかし一般の方には、あまり聞き慣れない病気だと思います。今回はこの「十二指腸乳頭部がん」についてお話します。

膵液と胆汁が十二指腸に流れ込む部分

 十二指腸は食物を消化して栄養を吸収する消化管の一部で、胃の出口(幽門)と小腸との間に位置する30cm弱の腸管です。よく「指12本を並べた長さだから十二指腸という」と言われますが、実際にはもう少し長いのです。みぞおちとおへその中間くらいの高さで、体の右側、背中寄りにあり、膵臓(すいぞう)を囲むようにCの字形をしています。

 この十二指腸の内腔(ないくう=内側)に「ファーター乳頭」と呼ばれる小さな隆起を伴った開口部があります。開口部からは、胆汁や膵液が十二指腸内に流入しており、食物の消化・吸収を助けます。ファーター乳頭の開口部には「オッディ括約筋」という筋肉が取り巻いていて、これら消化液の流れを調節するとともに十二指腸からの逆流を防ぐ働きをしています。このファーター乳頭にできたがんが「十二指腸乳頭部がん」です。比較的まれな疾患であり、臓器ごとの統計では胆道がんに含まれています。厚生労働省の人口動態統計によると2015年の胆道がんによる死亡者数は1万8152人で、男女はほぼ同数であり、ここ数年は横ばいとなっています。

 自覚症…

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佐野病院消化器がんセンター長

こたか・まさひと 大阪府生まれ、1997年高知医科大学(現・高知大学医学部)卒業。同大学付属病院第1外科、高知県立中央病院(現・高知医療センター)外科、国立がんセンター(現・国立がん研究センター)東病院大腸骨盤外科などを経て、2006年から佐野病院消化器センターに勤務。13年同病院消化器がんセンター長に就く。専門は胃がん、大腸がんの手術と化学療法、その他の消化器がん治療。