
「仕事上の会食が心臓に悪い」という研究結果が発表された。研究の対象はスペイン人だが、発表したのはなぜか米国の医師Valentin Fuster氏らである(「Journal of the American College of Cardiology」8月23日号掲載)。
“大胆さ”に驚きの論文
中年のスペイン人約4000人を対象にした研究では、対象者の食事パターンを「地中海食」「西洋式の食事」「仕事上の付き合いでする食事(social business diet)」に分けて、心臓にもたらす影響を検討している。対象者の食事パターンを大胆に三つに分けることだけでも驚きの論文だ。
このうち地中海食は、果物や野菜、全粒穀物、豆類、ナッツ類が豊富で、欧州の健康と栄養の研究ではお決まりの「健康食」である。昨年の「欧州栄養学会議」で、私の研究室の助手が発表した隣で地中海食のダイエット効果を発表していた。発表者に「なんで地中海食は普及しないのか?」と尋ねたところ、野菜や果物中心の地中海食は、赤肉や加工肉、バター、高脂肪の乳製品、精製穀物が多く含まれる一般の食事(いわゆる西洋食)より…
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大阪大学招へい教授
いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。
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