人類史からひもとく糖質制限食 フォロー

長友選手が目指す「ケトン体体質」の利点

江部康二・高雄病院理事長

 人体を構成する各組織の細胞が生きていくためには、エネルギーが必要です。人体の主要なエネルギー源としては、(1)脂肪酸-ケトン体のシステムと、(2)ブドウ糖-グリコーゲンのシステム、の2系統があります。ケトン体の認知度はブドウ糖に比べてかなり低くて、知らない人のほうがはるかに多かったのですが、サッカー日本代表、長友佑都選手のおかげで、一躍その名を知られるようになりました。テレビの密着番組で「(自分の体を)ケトン体回路にしたい」と発言したのが報じられたのです。

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高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。