実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

HIVを「死から解き放った」薬

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
  • 文字
  • 印刷

エイズという病を知っていますか?【9】

 HIVに感染しても1日1錠決まった時間に薬を飲んでいればエイズを発症しない、と言うと多くの人は驚きます。

 抗HIV薬が初めて市場に登場したのは1987年。歴史的な薬ですが、発売後しばらくして飲み続けているうちに効かなくなってくることや、いくつかの副作用ばかりがクローズアップされるようになり、一時は期待の大きさに比例する深い落胆が患者はもちろん、医療従事者の間に広がったことがありました。その印象が強いためか、HIVをいまだに「死に至る病」だと思っている人もいます。しかし、現在は適切なタイミングで適切な治療薬の服用を開始すれば、多くの場合、生涯にわたりエイズを発症しません。ただし、ここまでの道のりがかなり険しかったのも事実です。今回は、およそ30年間にわたる抗HIV薬の歴史を振り返ってみたいと思います。

この記事は有料記事です。

残り3010文字(全文3384文字)

   

ご登録日から1カ月間は100円

いますぐ登録して続きを読む

または

登録済みの方はこちら

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト