
抗がん剤の副作用による脱毛【前編】
がん医療の現場では、一般的に命を救うことが最優先と考えられます。そのため、抗がん剤によって起きるさまざまな副作用も、その効果を考えると「やむを得ない」「我慢するしかない」とされる時代が長く続きました。脱毛の副作用も同様です。しかし最近のがん治療学の進歩によって、がんになってからも長く生きられるようになり、治療を続けながら社会生活を送る人が増えたことで、毛髪を含む外見のケアも着目され始めています。これまで我慢するしかなかった脱毛も、有効な治療が報告されています。がんの化学療法を前向きな気持ちで乗り越えるためにも、抗がん剤による脱毛の医学的な基礎知識と治療法を正確に知っておきましょう。
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齊藤典充
横浜労災病院皮膚科部長
さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。
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