10歳若返る歩行術 -インターバル速歩-

「かくれ脱水」を起こす喉の渇きの仕組み

能勢博・信州大学教授
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 中高年者では、冬場は体の水分量が減少しやすく、血液の濃縮がおこりやすくなり、それが心筋梗塞(こうそく)、脳梗塞発症の原因になります。なぜ、このようなことが起こるのでしょうか。原因の一つに「中高年者は、口渇感が減弱して脱水になりやすい」ことがあげられます。つまり喉の渇きを感じにくくなり、自覚のない脱水「かくれ脱水」を引き起こすのです。それを防ぐには、どうすればよいか。今回は、インターバル速歩トレーニングが持つ脱水予防効果の可能性について述べましょう。

 水分摂取は日常生活の中でほぼ無意識で行われています。しかし、塩辛いものを大量に摂取したとき、大量に汗をかいたとき、嘔吐(おうと)・下痢をしたときなどに、私たちは(意識にのぼる)激しい口渇感(喉の渇き)を感じます。そのメカニズムをまず解説します。

 ラットのような実験動物に自由に行動させつつ、濃い食塩水を血液中に注入すると、即座に飲水行動(水を飲む行動)を起こします。これは、血漿浸透圧(血漿ナトリウム濃度)の上昇が、脳の視床下部細胞を刺激して口渇感を引き起こし、飲水行動を引き起こすからです。これを「浸透圧刺激性飲水行動」と呼びます。

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能勢博

信州大学教授

のせ・ひろし 1952年生まれ。京都府立医科大学医学部卒業。京都府立医科大学助手、米国イエール大学医学部博士研究員、京都府立医科大学助教授などを経て現在、信州大学学術院医学系教授(疾患予防医科学系専攻・スポーツ医科学講座)。画期的な効果で、これまでのウオーキングの常識を変えたと言われる「インターバル速歩」を提唱。信州大学、松本市、市民が協力する中高年の健康づくり事業「熟年体育大学」などにおいて、約10年間で約6000人以上に運動指導してきた。趣味は登山。長野県の常念岳診療所長などを歴任し、81年には中国・天山山脈の未踏峰・ボゴダ・オーラ峰に医師として同行、自らも登頂した。著書に「いくつになっても自分で歩ける!『筋トレ』ウォーキング」(青春出版社)、「山に登る前に読む本」(講談社)など。