実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

日本脳炎の大流行を危惧する二つの理由

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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「世界一恐ろしい生物=蚊」の実態を知る【11】

 そんなはずはない! 誤報ではないのか……。

 これは2016年秋、長崎県対馬市で4人の日本人が日本脳炎を発症したという報道を聞いたときに私が最初に感じたことです。なぜ私がそのニュースを「誤報」と思ったのか。それは対馬には家畜のブタはいないからです(注)。

 日本脳炎の感染経路は、ブタ→蚊(コガタアカイエカ)→ヒトです。ヒトからヒトへの感染はありません。ですから、ブタがいない地域では日本脳炎の心配は不要です。そのため、「日本では日本脳炎の予防が必要と聞いた。ワクチンをうってほしい」という外国人からの問い合わせを受けたとき、私は「養豚場を見学したり、その近くに行ったりしないのであればワクチンは不要です」と説明しています。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト