医療プレミア特集

アスリートの命をおびやかす“脳のけが”

小座野容斉・毎日新聞 デジタルメディア局
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藤谷博人・聖マリアンナ医科大学准教授=小座野容斉撮影
藤谷博人・聖マリアンナ医科大学准教授=小座野容斉撮影

 鍛え上げられた肉体が力と技をぶつけ合って競うのが、競技スポーツの醍醐味(だいごみ)だ。それゆえにハイレベルな戦いになるほど、けがのリスクがついて回る。アメリカンフットボールの米プロリーグNFLを舞台に、プレー中の脳しんとうが選手に引き起こした悲劇を描いた映画「コンカッション」が日本でも公開された2016年秋、日本でも痛ましい事故が起きた。11月中旬、高校アメフットの強豪、関西学院高等部(兵庫県西宮市)で3年生選手が試合中、頭部に衝撃を受けて倒れ、4日後に亡くなったのだ。全力のプレーは命の危機と隣り合わせなのか。聖マリアンナ医科大学スポーツ医学講座の藤谷博人准教授に現状と対策を聞いた。

 --関学高の事故もそうですが、アメフット、ラグビーなど、コンタクト(ぶつかり合い)の激しい競技での危険なけがは、頭部、頸部(けいぶ)の負傷ではないかと思います。最も気をつけるべき症例を教えてください。

 重症外傷は、確かに頭部と頸部に起きますが、統計上、圧倒的に多いのは頭部外傷です。アメフットの関東大学リーグで1991年から12年の22年間に死亡したり、競技への復帰が不可能となったりした事例は25件あります。うち22件が頭部外傷、残り3件が頸部で、88%が頭部のけがということになります。

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小座野容斉

毎日新聞 デジタルメディア局

こざの・ようせい 1964年生まれ。89年に毎日新聞社入社、写真部、編集総センターなどを経て2006年にデジタルメディア局へ異動。ニュースサイトの編集や、毎日新聞の記事写真の二次利用許諾に携わる傍ら、プライベートでアメリカンフットボールなど各種スポーツを取材・撮影し、雑誌などに寄稿している。一般社団法人日本スポーツプレス協会(AJPS)会員。