髪の健康相談室

ストレスがなくても起きる 円形脱毛症

齊藤典充・横浜労災病院皮膚科部長
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 毛髪が抜けていることの自覚がなく、家族や美容師さん、理容師さんに指摘されて初めて脱毛に気づく人は、少なくありません。そのようなケースでよく見られる脱毛症が「円形脱毛症」です。円形脱毛症は脱毛症の中で最も発症者が多く、ある日突然、前ぶれもなく起こります。原因ははっきりしていませんが、一般的に言われるストレスばかりではなく、インフルエンザなどのウイルス感染をきっかけに発症することもあります。円形脱毛症という疾患の実態と治療法について、今回から紹介していきます。

 円形脱毛症は生まれつきの脱毛ではなく、何らかの原因で後天的に起きる脱毛症です。男女の区別なく、子供から高齢者まで幅広い年齢層に発症します。米国では人口の0.1~0.2%に発症するとされ、日本でも同じ程度の発症頻度であると言われています。つまり、日本の人口をざっと約1億人とすると10万~20万人は、一生のうちに発症する可能性がある病気といえます。

 分かりやすい症状は、毛髪の一部分が抜けて丸く見えることですが、毛髪以外の眉毛やまつ毛、ひげ、全身の体毛が抜けることもあります。脱毛の原因は、ストレスだとよく言われます。実際にストレスが原因である人もいますが、本人がとくにストレスを感じておらず、また特段大きなライフイベントがあったわけでもないのに、突然、発症することも多くあります。

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齊藤典充

横浜労災病院皮膚科部長

さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。