
私たちは毎日、数回おしっこを出します。もちろん、順調におしっこが出ていることは、健康の証しといえるのですが、なぜ、毎日おしっこをしなければならないのか、考えてみたことがあるでしょうか?
水をたくさん飲むと、おしっこの量が増えることは、誰でも経験することです。ですから、おしっこは体で余った水分が出ているのだと、考えている人が意外と多いのです。そこで、例えば夜中にトイレに立ちたくないので水分を控える、といったことをしてしまいがちです。でも、おしっこは水分を出すだけが目的ではないのです。
山や砂漠など飲み水が手に入らないところで遭難した人が生還した時、自分のおしっこを飲んで渇きをいやしたという話を聞くことがあります。おしっこまで飲むなんて大変だったなあと思うと同時に、水分が得られない危機的な状態の時もおしっこが出るということに驚きます。体の水分が余っているということは絶対にないはずだからです。
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當瀬規嗣
札幌医科大学教授
とうせ・のりつぐ 1984年北海道大医学部卒、88年北海道大学大学院修了、医学博士。北海道大医学部助手、札幌医科大医学部助教授、米シンシナティ大助教授を経て、98年札幌医科大医学部教授(細胞生理学講座)に就任。2006~10年、同医学部長。医学部長就任時は47歳。全国に医学部は国公私立合わせて80あるが、最年少の学部長。「40代は驚きで、加速し始めた医学部改革の象徴」と話題になった。専門は生理学・薬理学で、心拍動開始の起源を探求している。
連載:新・真健康論
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