明日のきれいのつくり方

傷痕残る?消える?それは縫い方次第です

山下理絵・湘南藤沢形成外科クリニックR総院長
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 2月、また一つ年齢加算。今年も病院のスタッフが特製「ブタチョコレート」をデコレーションしたケーキでお祝いしてくれました。その日はとても忙しく、少し落ち着いた後の甘いひとときに皆でほっと一息。今年は、知人からバースデープレゼントに京都の砥石(といし)屋さん「砥取家(ととりや)」の砥石をいただきました。昨年のプレゼント、「鬼切」の包丁をこれで研ぎます。現在、私たちが手術で使用するメスや針は使い捨てですが、その昔はメスは研いで、針は滅菌して再利用していました。私も医学生時代の解剖学実習の時は、使用するメスを研いだ経験があります。でも包丁となると、母が研いでいたのを見てはいましたが、自分で砥石を使うのは初めてで、これからが楽しみです。メスも包丁もよく切れることが一番重要。

 私の専門科である形成外科は、すべての病院に標榜(ひょうぼう)されているわけでなく、一般的にはまだまだ、なじみが少ない科かもしれません。形成外科医が主に担当するのは体表の外科、つまり体の表面部分の外科治療ですが、外傷(けが)や熱傷(やけど)などの傷の治療を行う創傷外科も私たちの領域ですし、緊急手術になることが多い顔の骨折は、実は多くの場合、整形外科ではなく形成外科で手術をします。皮膚や軟部組織にできる腫瘍を治療する腫瘍外科、小児の先天奇形を治す奇形外科、失った組織の再建を行う再建外科、そして美容外科、主に五つの分野の治療や手術を行っています。これらすべてに関係する技術が「縫合」です。

 さて、皆さんは、顔を切ってしまった!という時、何科を受診されますか? おそらく、救急外来や外科という答えが多いと思います。実際にそんな経験がある方、その時の救急当番が形成外科医だったら非常にラッキーです。なぜなら、形成外科医は傷、縫合に対する考え方が、他の科とはまったく違います。

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山下理絵

湘南藤沢形成外科クリニックR総院長

やました・りえ 2018年4月から湘南藤沢形成外科クリニックR総院長。外傷や再建、腫瘍など形成外科の診療はもちろんのこと、子供のあざやしみなどのレーザー治療では定評があり、多くの講演や教育を行っている。最近では、幹細胞を用いた乳房再建を行い、ウーマンライフのQOLの向上にも努めている。趣味と実益を兼ねたライフワーク「癒やしと美肌」への探究心は、1泊3日の過激な海外出張へも駆り立てる。信条は「気になるものは、まず自分で試す」。前職は湘南鎌倉総合病院の形成外科・美容外科部長、形成再生医療センター長。湘南藤沢形成外科クリニックR