街場の医療塾 つるばあさんの上手な医者の使い方

インフルを「流感」と呼んだ時代に学ぶこと

桜井隆・さくらいクリニック院長
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 インフルエンザが依然、はやっている。全国的なデータを見ると、2月半ばでピークは越えたらしいが、今年は患者さんの総数が例年に比べて多い気がする。というよりも、高齢者でもインフルエンザにかかる方が増えている印象だ。事実、私が嘱託医をしている特別養護老人ホームでもインフルエンザが蔓延(まんえん)し、入居者50人中10人がインフルエンザにかかってしまって、対応にとても苦労した。もちろん入居者、スタッフ全員予防接種はしていたのだが、学校や介護施設、病院など、多くの人が集団生活をしている場所で感染症が広がってしまうと、それを食い止めるのはなかなか難しい。もちろん元気な方は4~5日で治ってしまうのだが、いろいろな病気がある高齢者の場合、肺炎を併発したりして重症になることもあるので、注意が必要だ。

 最近はご存じの通り、鼻腔(びくう)粘膜を綿棒でこすれば5~10分で感染しているか否かの結果がわかるインフルエンザ診断キットがある。しかしこのキット、実は陽性率(本当にインフルエンザにかかっている人を、正しく「感染している」と判定する割合)は70~80%程度と言われている。キットで陽性ならまあインフルエンザと診断してもいいだろうが、陰性でも絶対にインフルエンザではない、とは言い切れない。

 風邪のはやるこの時期に、まず喉が痛くなって鼻水が出て、それからせきと微熱が……という普通の風邪のパターンではなく、いきなり38~39度の発熱から始まって頭痛、関節痛があってとってもだるくてしんどい、と来れば、たとえ検査キットで陰性でも、インフルエンザの可能性がとても高い。喉の奥(咽頭<いんとう>後壁)に“いくら”のように赤く小さな水疱ができる「リンパ濾胞(ろほう)」もインフルエンザに特徴的な症状…

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桜井隆

さくらいクリニック院長

さくらい・たかし 1956年、兵庫県尼崎市生まれ。81年、群馬大学医学部卒業。兵庫医科大学内科、大阪大学整形外科などを経て92年、同市でさくらいクリニックを開業。当初から在宅でのみとりを支援し続け、現在までに350人あまりをみとってきた。内科、整形外科、リウマチ専門医。内科、整形外科両サイドの経験から「あなたとあなたの家族の専門医」をめざす。20年にわたり、宝塚歌劇団の主治医も務める。主な著書に「先生‥すまんけどなぁ…」(エピック)、「大往生なんか、せんでもええやん!」(講談社)。さくらいクリニックウェブサイト