人類史からひもとく糖質制限食

コレステロール 悪者扱いの“偏見”

江部康二・高雄病院理事長
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 人体は、たんぱく質、脂質、ミネラル、水分などの成分により構成されています。男女で比べると、一般に女性の方がやや脂肪の割合が多くなりますが、おおよその体組成は、水分=55~65%、たんぱく質=14~18%、脂肪=15~30%、ミネラル=5~6%、そして糖質は1%以下となります。

 つまり糖質は人体の構成成分としては極微量なのです。例えば脳は脂質に富んでおり、ヒト脳の乾燥重量の65%が脂質です。その脳脂質の半分がリン脂質、コレステロールが4分の1、糖脂質が4分の1という組成です。

 “悪者”扱いされることの多いコレステロールですが、生体のあらゆる細胞膜の構築に必須の物質であり、肝臓で合成し腸肝循環(肝臓で作られ胆汁に含まれて十二指腸に分泌された物質が、腸管から再吸収されて肝臓に戻り再び胆汁に含まれるというサイクル)によって制御・調節されています。コレステロールはまた男性ホルモン、女性ホルモンなどの原料でもあり、悪者どころか人体に必要不可欠な大切な物質なのです。もちろんヒトだ…

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江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。