実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

花粉症もアトピーも抗菌薬が原因かも?

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 重症の下痢をもたらすクロストリジウム・ディフィシル(CD)は、すべての抗菌薬が効かず、残された唯一の治療が糞便(ふんべん)移植になることもあります。しかし、「抗菌薬の使用を控えること」で、CDの発症を大幅に減らせることをイングランドが大規模調査で示しました(前回参照)。

 そして、抗菌薬の使用を減らすことで絶大な予防効果が得られるのはCDだけではありません。そのすべてが高いエビデンスレベルで証明できるわけではありませんが、現在、アレルギー疾患や自己免疫性疾患、さらに精神疾患や肥満までが抗菌薬の過剰使用が原因であることが指摘されています。

 それらのなかで、今回は花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患について話をしてみたいと思います。

 まずは、なぜ昔はほとんどみられなかったアレルギー疾患がこれだけ増えているのか、という点について考えてみましょう。日本を含む先進国では1980年代あたりから、花粉症やアトピーなどのアレルギー疾患が急増しました。花粉症は、たしかにスギ花粉の飛散量が増加したことが大きな原因ですが、それだけで説明できるでしょうか。加えて21世紀に入ると食物アレルギーが急増し、小学校での給食の現場に混乱を招いています。な…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト