病気が逃げ出すサプリ指南

アロマの力を上手に使うコツ

丁宗鐵・日本薬科大学学長
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 どこからともなく漂ってくる花の香りは、季節の移り変わりを感じさせます。キンモクセイの香りといえば秋の訪れを感じますが、今の子どもたちは、トイレの芳香剤のイメージが強いようです。それほど身近に芳香が満ちあふれているということでしょう。私たちの身の回りにはさまざまな香りがあり、その中には、天然以外の化学的に合成されたものが多く存在します。アロマセラピーに使用する精油にも、人工的な香りが紛れていることがあります。選び方や使い方をよく理解して活用したいものです。

 植物の花▽葉▽果皮▽樹皮▽根▽種--などから成分を抽出し、濃縮したもので、純度100%の天然成分だけが、精油(エッセンシャルオイル)と呼ばれます。しかし、出回っている精油の中には、合成香料やアルコールなどが混ぜられているものがあります。天然成分に似せて人工的に作られたものは、精油とはいえないもの。誤って使用すると逆効果になる場合があり、アロマセラピーには使用できないので、品質をよく見極めて購入することが大切です。

 近年、ストレスの解消や疲労の軽減に香りが積極的に取り入れられています。香りには「気分が落ち着く」「リラックスする」「集中力が高まる」といった作用が経験的に知られていますが、健康に関わる研究でもその効果が少しずつ分かってきています。

 不安感の強い人は、不眠や睡眠の質が低下しやすいといわれています。睡眠の研究では、このような人がアロマセラピーを行うと不安が軽減して眠れるようになり、気分の向上や緊張の緩和が報告されています。また、香りの好みと心理的効果を検討した研究では、好きな香りと快適感は相関することが分かっています。自分が心地よいと感じる香りには、心身の負担を軽くする働きがありそうです。

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丁宗鐵

日本薬科大学学長

てい・むねてつ 1947年東京生まれ。医学博士。横浜市立大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科修了。79年から81年まで米国スローン・ケタリングがん研究所に客員研究員として留学。日本東洋医学会漢方専門医・指導医。北里大学・東洋医学総合研究所研究部門長、東京大学大学院客員教授、東京女子医科大学特任教授を経て現在、日本薬科大学学長、百済診療所院長。近年の著書に「丁先生、漢方って、おもしろいです。」(朝日新聞出版)、「病気がイヤがる暮し方 江戸式健康心得」(春秋社)、「ガンが逃げ出す漢方力」(ヴィレッジブックス)など。