医療プレミア特集

母子で飲める薬も 漢方で産後を健やかに

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷

 北海道大学COI(センター・オブ・イノベーション)「『食と健康の達人』拠点」のサテライト、北里大学東洋医学総合研究所(東京都)でこのほど開かれた「女性と漢方を知るセミナー」。前編では、漢方の基礎知識や産前のつらい諸症状に効く漢方薬を紹介しました。後編では、引き続き同研究所の花輪壽彦教授の講演から、出産時や産後に有効な漢方について解説します。

 難産の際、分娩(ぶんべん)時に桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を使うことがあります。生まれることを促す「催生湯(さいせいとう)」とも呼ばれ、子宮口が開いてきたのに、お産が進まなくて困っている時に服用してもらうと、分娩がスムーズになると言われています。このほか、葛根湯や五積散(ごしゃくさん)も使われます。墜落分娩(分娩室に到着する前に出産すること)を起こすほど、強力な作用はないので、安心して使えます。

 産後は体力が消耗し、精神的にも不安定になりやすくなります。出産時や授乳時に多く分泌されるホルモン「オキシトシン」は母性本能を高めますが、子どもを守るために非常に警戒心が強くなり、神経が過敏になるためです。体力の回復、そして精神的なバランスを取るためにも、漢方薬は多く利用されています。

 まず、産後の体力回復には十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)、後陣痛(出産後に生じる下腹部の痛み)の緩和には当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)がいいと言われています。産後の“精神安定剤”としては折衝飲(せっしょういん)が挙げられます。その名称には「血の上衝(上昇)を折る」と言う意味があり、漢方において体を構成する要素と考える「気・血・水」のバランスを整え、産後ののぼせ、不安、イライラを取り除きます…

この記事は有料記事です。

残り2302文字(全文3020文字)

鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。