実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

鶏の生食が危険な二つの理由

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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抗菌薬の過剰使用を考える【13】

 牛レバーを生食用に販売、提供することが禁止されたのは2012年7月ですからはや5年が経過しようとしています。ことのきっかけは北陸のチェーン店の焼き肉屋(現在は廃業)で、2011年に起きた集団食中毒です。この事件で5人の幼い命が犠牲となりました。

 厚生労働省による牛レバーの生食禁止の決定には反対意見も多く、肉の生食は日本の食文化だ、という声は今も根強くあります。ですが、法を犯してまで食べる人はそういません。そこで12年以降、肉の生食を好む人たちは牛肉を諦める代わりに、鶏肉や豚肉、あるいは鹿やイノシシなどのいわゆるジビエの刺し身などを求めるようになったと言われています。これらは大変危険な食べ方であり、さまざまな感染症のリスク要因となります。

 今回は鶏の刺し身やタタキで感染することが多い細菌「カンピロバクター」に焦点を当て、なぜこの細菌が危…

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト