赤ちゃん学へようこそ

育児も楽に?赤ちゃんと音楽の関係

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷

 連続講座「赤ちゃん学入門講座~ヒトのはじまりを科学で探る~」(同志社大学主催)の内容を紹介する連載第2回のテーマは、「赤ちゃんの『聞く』」です。子育てにおける音楽の有効可能性や音を聞く脳のしくみ、発達における音楽やリズムの役割について、音楽神経科学が専門の藤井進也・慶應義塾大学環境情報学部専任講師が解説します。

 まず自己紹介をしましょう。私は音楽が大好きで、2001年に京都大学に入学後も音楽に明け暮れていました。翌年から音楽の専門学校と“ダブルスクール”を始め、ドラムを専攻しました。赤ちゃんの研究をスタートさせたのは、京都大学で博士学位を取得した後、東京大学大学院教育学研究科に博士研究員として在籍していた時です。ヒトほど高度なレベルで音楽を楽しめる生物はこの世に存在しません。「なぜヒトは音楽を手にしたのか」という問いは大きな科学のミステリーでもあります。私が赤ちゃんの研究を始めたのは、赤ちゃんを知ることで、ヒトにとっての音楽の起源を求めたいと思ったからです。

 人類最古の楽器は紀元前3万5000年~4万年前に鳥の骨で作られた笛と言われています。ドイツ北西部の洞窟から笛が発掘されました。はるか昔から人類は音を楽しんでいたわけですが、ヒトが音楽を手にしたことで、どのようなメリットがあったのでしょうか。科学者の間でさまざまな議論がありますが、「音楽は子育てに有利に働いたのでは」という仮説があります。

 お母さんが赤ちゃんに対して何かを伝える時、「話す」のと「歌う」のでは、どういう違いがあるでしょうか。カナダ・トロント大学の科学者たちは、多くのお母さんの協力を得て、赤ちゃんに話しかけた時と歌いかけた時のピッチ(声の高さ)とテンポ(速度)を測定しました。1週間後にまた同じことをしてもらい、この二つの変化を調べました。すると、話す時は、話す内容が同じでも、声のピッチとテンポが1週間後に全く違っていま…

この記事は有料記事です。

残り5378文字(全文6184文字)

鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。