病気が逃げ出すサプリ指南

サプリの先駆け 梅を上手に活用して健康に

丁宗鐵・日本薬科大学学長
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 梅の実が出回る頃になりました。梅干しや梅酒づくりを楽しんでいる方が多いと思います。今のように冷蔵庫が普及していなかった時代、梅干しは暮らしに欠かせないものでした。保存がきく食品であり、おにぎりやお弁当に入れると食品が傷みにくくなり、腹痛などを起こした時には民間薬として大活躍したからです。“健康食品の元祖”ともいえる梅は、もともと漢方薬として伝わってきたもの。その梅をさまざまな食品に加工して利用しているのは、日本独自の食文化です。

 梅はバラ科の植物で、原産地は中国。稲作とともに伝来し、弥生時代には、すでにあったという説もありますが、奈良時代に烏梅(ウバイ)という漢方薬が伝わり、それを作るために中国から梅の木を持ち帰ったのが最初と言われています。中国では、烏梅を「ウメイ」と発音していたことから、梅の木をウメと呼ぶようになったと伝えられています。

 烏梅は、青梅をいぶして乾燥させた生薬です。その煎じ液には抗菌作用と抗真菌作用があり、喉の渇きや嘔吐(おうと)、下痢、寄生虫による腹痛、せき止めなどに用いられました。また、烏梅を用いた漢方薬には、烏梅丸があります。これは、烏梅に細辛(サイシン)、乾姜(カンキョウ)、黄連(オウレン)、附子(ブシ)など10種類の生薬を配合した丸薬。寄生虫による腹痛や手足の冷えなどに用いられました。携帯に便利な形状をし…

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丁宗鐵

日本薬科大学学長

てい・むねてつ 1947年東京生まれ。医学博士。横浜市立大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科修了。79年から81年まで米国スローン・ケタリングがん研究所に客員研究員として留学。日本東洋医学会漢方専門医・指導医。北里大学・東洋医学総合研究所研究部門長、東京大学大学院客員教授、東京女子医科大学特任教授を経て現在、日本薬科大学学長、百済診療所院長。近年の著書に「丁先生、漢方って、おもしろいです。」(朝日新聞出版)、「病気がイヤがる暮し方 江戸式健康心得」(春秋社)、「ガンが逃げ出す漢方力」(ヴィレッジブックス)など。