Dr.林のこころと脳と病と健康

子どもにだけ見える「見えない友達」

林公一・精神科医
  • 文字
  • 印刷
絵=画家・絵師 OZ-尾頭-山口佳祐(http://oz-te.com)
絵=画家・絵師 OZ-尾頭-山口佳祐(http://oz-te.com)

 実在しない人が家にいると言い張る。前回ご紹介した「幻の同居人」は認知症の症状としての妄想でした。小さい子どもも、自分だけに見える人を実在すると信じていることがあります。けれどもこれは妄想ではなく、健康な成長の過程で時おり見られるもので、「想像上の友人」(imaginary companion:ICと略されます)と呼ばれています。娘にICがいると気づいた母親の話です。

 娘が8歳の時、「ねえ、ママも誰かに『言い聞かされる』事ってある?」と聞かれたのが最初でした。娘が「もうひとり君」と呼んでいたその「誰か」は、困ったときに出て来て助けてくれると言うのです。たとえば水泳の授業に水着を忘れて行ったので「どうしよう」と迷うと「見学にしたら?」と教えてくれたとか、友達とケンカして泣いていたら慰めてくれて仲直りの言葉を教えてくれたと言います。私は幻覚なのかと心配になり、頭の中にいるの?それとも本当にそこにいるのが見えるの?と聞いても「いるように見える」というようにはっきりしない答えが返ってきてよくわからないのです。

この記事は有料記事です。

残り2181文字(全文2638文字)

林公一

精神科医

はやし・きみかず 精神科医、医学博士。著書に「統合失調症という事実」「擬態うつ病/新型うつ病」「名作マンガで精神医学」「虚言癖、嘘つきは病気か」など。ウェブサイト「Dr.林のこころと脳の相談室」は、読者からの質問に林医師が事実を回答するもので、明るい事実・暗い事実・希望の持てる事実・希望の持てない事実を問わず、直截に回答するスタイルを、約20年にわたり継続中。