パロ・サントの上で求愛を始めたグンカンドリのオス。世界最大のグンカンドリで、正式名はガラパゴスアメリカグンカンドリ(学名:Fregata magnificens magnificens)
パロ・サントの上で求愛を始めたグンカンドリのオス。世界最大のグンカンドリで、正式名はガラパゴスアメリカグンカンドリ(学名:Fregata magnificens magnificens)

エクアドル:ガラパゴス諸島高山地帯の「湿潤の森」

 前回は、ガラパゴス諸島沿岸部の「乾燥の森」に生育する薬草である巨大なウチワサボテンとトマトの先祖を紹介した。今回は、諸島で最も多くの人が暮らすサンタクルス島で、沿岸部から高山地帯にかけて見られる薬草を紹介する。

一見枯れ木のような「聖なる木」

 今回も薬草に詳しいナチュラリストガイドのブランカと、街がある沿岸部から島の中央に位置する高山地帯を目指した。車を1kmも走らせないうちに、広大な森に入った。周囲の木は日本のシラカバのように幹が白いのだが、木についているはずの葉っぱが見当たらない。26年前に初めて見たときには、枯れ木の森かと思ってしまったのだが、実は乾期の間は、水分が蒸発して失われるのを防ぐために、木が自ら葉を落としているのだ。雨季がやってくると突然、数日間で枝からたくさんの新芽が吹き出してくる。とても奇妙な植物だ。島では「パロ・サント」と呼ぶ。「聖なる木」という意味だ。

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鷺森ゆう子

エスノ・メディカル・ハーバリスト(民族薬用植物研究家)

さぎもり・ゆうこ 神奈川県生まれ。動物専門学校看護科卒。日本大学英文学科卒。1994年より動物病院で獣医助手として勤務する。同時に海や川の環境保全を行う環境NGOに携わり、海洋環境保全に関するイベントの運営などを行う。また中米のベリーズを訪れ、古代マヤ人の知恵を生かしたナチュラルメディスンに触れ、自然の薬に、より関心を持つようになる。このような体験を会報誌へ執筆する。95年から1年間、東アフリカのケニアにて動物孤児院や、マサイ族の村でツェツェフライコントロールプロジェクトのボランティアに参加する。このときサバンナでは、マサイ族直伝のハーブティーなどを体験する。帰国後は再び環境NGOなどに関わりながら、国内での環境教育レクチャーや、中米グァテマラの動物孤児院にてボランティア活動を行うなど、野生生物と人との共生について探求する。2006年から野生生物の生きる環境や、世界の自然医療の現場を巡る。

藤原幸一

生物ジャーナリスト/NATURE's PLANET代表

ふじわら・こういち 秋田県生まれ。日本とオーストラリアの大学・大学院で生物学を学ぶ。現在は、世界中の野生生物の生態や環境問題、さらに各地域の伝統医学に視点をおいて取材を続けている。ガラパゴス自然保護基金(GCFJ)代表。学習院女子大学・特別総合科目「環境問題」講師。日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」監修や「動物惑星」ナビゲーター、「世界一受けたい授業」生物先生。NHK「視点論点」「アーカイブス」、TBS「情熱大陸」、テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」などに出演。著書は「きせきのお花畑」(アリス館)、「森の声がきこえますか」(PHP研究所)、「マダガスカルがこわれる」(第29回厚生労働省児童福祉文化財、ポプラ社)、「ヒートアイランドの虫たち」(第47回夏休みの本、あかね書房)、「ちいさな鳥の地球たび」(第45回夏休みの本)、「ガラパゴスに木を植える」(第26回読書感想画中央コンクール指定図書、岩崎書店)、「オーストラリアの花100」(共著、CCCメディアハウス)、「環境破壊図鑑」(ポプラ社)など多数。