医療プレミア特集

DHA不足が視力低下や男性不妊を招く?

藤野基文・毎日新聞 医療プレミア編集部
  • 文字
  • 印刷

 サバやイワシなどに豊富に含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)。これまでの研究で、中性脂肪やコレステロールの値を下げたり、動脈硬化を予防したりするなどの効果が分かっている。しかし、それだけではなく、DHAがなくなると視覚や生殖機能が失われることが新たに分かったのだ。国立国際医療研究センター研究所などのチームがマウスの実験で明らかにし、6月に米科学誌「ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー」に発表した。

 動物の体を作る細胞には、外側を包む細胞膜のほか、内側にあるミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体などの「細胞小器官」にも膜がある。膜はリン脂質という脂質が集まってできている。リン脂質は1000~1500種類あり、各組織の役割などによって異なる分子構造を持っている。眼球の内側にあって光を感じる網膜の視細胞や精子の膜には、DHAを含んだリン脂質が豊富に存在する。

 DHAは、ヒトを含む動物の体内で作り出すことができないため、食べ物から摂取しなくてはならない。食べ物から体内に取り込まれたDHAは、血液中で脂質の分解を促進したり、動脈硬化や血栓の原因となる血小板の凝集を防いだり、LPAAT3という酵素の働きでリン脂質の一部になって細胞の膜の構成要素になったりする。ところがこのうち、膜に関してはDHAがどんな働きをしているか謎に包まれていた。

この記事は有料記事です。

残り1102文字(全文1676文字)

藤野基文

毎日新聞 医療プレミア編集部

ふじの・もとふみ 1977年生まれ。2004年に毎日新聞社入社。甲府支局などを経て、10年から東京本社科学環境部で、医療・医学、環境省、ノーベル賞などを担当。医療・医学分野では、臓器移植、感染症、脳神経科学、再生医療などを取材した。17年4月からデジタルメディア局医療プレミア編集部。