40代からのアクティブ体づくり講座

放置すると連鎖も「いつの間にか骨折」

萩野浩・鳥取大学教授
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 高齢化が進み、骨粗しょう症が原因で背骨が折れる「脊椎(せきつい)椎体骨折」の患者さんが増えています。この疾患は、骨がもろくなったことにより、じわじわとつぶれるように症状が進行するため、骨折が進んでいる間も痛みを感じないことがあります。骨粗しょう症が原因の痛みを感じない脊椎椎体骨折は、「いつの間にか骨折」と呼ばれており、注意が必要です。骨折は一度起きると連鎖しやすく、周囲の骨も折れやすくなります。静かに進行する、それだけに怖い、骨粗しょう症による脊椎椎体骨折について紹介します。

 背骨が折れる脊椎椎体骨折の中でも骨粗しょう症が原因で、痛みのないものについては、いつの間にか骨折と呼ばれています。その名の通り「いつの間にか」折れているので本人の自覚がなく、発見が遅れがちで治療に至らないこともあり、やっかいです。同じ脊椎椎体骨折でも、交通事故や転落など大きな外傷が原因のものについては激しい痛みがあり、折れた事実が明確なのですぐに治療を開始することができます。大きな外傷でなくても、転倒などによって知らない間に骨折が起きることもあります。その場合は、寝たり起きたりする動きの際に痛みを感じて気付くケースが多くなっています。

 このように痛みが感じられてすぐに対応できる場合はよいのですが、骨粗しょう症で骨がもろくなってじわじわとつぶれ、ゆっくりと骨折が進行するケースこそ注意が必要です。骨折はじわじわと進むと痛みを感じないでいられます。骨折は進んでいても痛みがないため骨折していることに気付かず、治療をせず放置してさらに骨折が進行していきます。

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萩野浩

鳥取大学教授

はぎの・ひろし 1982年鳥取大学医学部卒業。同学部整形外科助手、講師、付属病院リハビリテーション部長などを経て現在、医学部保健学科教授(付属病院リハビリテーション部長兼務)。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、運動器リハビリテーション。特に骨粗しょう症治療の経験が深く、国際骨粗鬆(しょう)症財団(IOF)アジア太平洋地域代表、日本骨粗鬆症学会理事など要職を務める。保健師、看護師、臨床検査技師などを対象に骨粗しょう症診療のコーディネイター役「骨粗鬆症マネージャー」を養成する日本骨粗鬆症学会のレクチャーコースでは講師役も務める。著書に「骨粗鬆症治療薬の選択と使用法―骨折の連鎖を防ぐために」(南江堂)など。