アルツハイマー病と睡眠の深い関係【後編】

 認知症患者の約半数を占めるアルツハイマー病の患者数は、医療の進歩、寿命の延びを背景に年々増加しています。前回お伝えしたように、アルツハイマー病患者は体内時計に乱れが見られ、夜間の中途覚醒、夜間徘徊(はいかい)、また昼間の過度の眠気を引き起こします。これらの睡眠障害は、認知機能の低下が見られる初期、またはそれ以前から表れ始めるため、アルツハイマー病の早期発見の指標としても有効です。アルツハイマー病は今のところ根本的な治療法がなく、いかに進行を予防するかがカギとなっています。

 さて、今回はアルツハイマー病における体内時計の乱れに焦点を当てて、病態進行の予防方法を考えます。特…

この記事は有料記事です。

残り2074文字(全文2383文字)

柴田重信

早稲田大学教授

しばた・しげのぶ 1953年生まれ。九州大学薬学部卒業、薬学研究科博士修了。九州大学助手・助教授、早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より早稲田大学理工学術院教授。薬学博士。日本時間生物学会理事、時間栄養科学研究会代表。時間軸の健康科学によって健康寿命を延ばす研究に取り組む。専門は時間栄養学、時間運動学とその双方の相乗効果を健康に活かす商品・プログラム開発。田原助教との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。

田原優

カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教

たはら・ゆう 1985年生まれ。早稲田大学理工学部、同大学大学院先進理工学専攻卒業。博士(理学)。早稲田大学助手を経て、2015年より早稲田大学高等研究所助教、17年1月よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部助教。07年より、柴田重信教授と共に、時間栄養学研究の確立に取り組んできた。また、発光イメージングによるマウス体内時計測定、ストレスによる体内時計調節などの成果も発表している。常にヒトへの応用を意識しながら、最先端の基礎研究を行っている。柴田教授との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。