病気が逃げ出すサプリ指南

現代の夏の不調が起こる理由、乗り切るコツ

丁宗鐵・日本薬科大学学長
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 暑さで体力が落ちる夏は、痩せるのがふつうでした。ところが今は、逆に太りやすくなっています。日本の夏は高温多湿。家電などがなかった頃は、食べ物が傷みやすく日持ちがしません。食料事情もよくないため、夏痩せしたのです。また、傷んだ食べ物を無理に食べて腹痛や食中毒を起こし、命を落とす危険さえありました。そんな夏の暮らしが一変し、現代社会では体の不調も様変わりしています。

 夏太りが増えてきた要因としては、冷蔵庫が普及したことが大きいでしょう。栄養豊富なスタミナ食といえば、江戸時代まではうなぎくらいのものです。冷蔵庫が登場すると、肉や魚、牛乳・乳製品といった生鮮食品の保存が可能になり、清涼飲料水もいつでも飲めるようになりました。夏太りする人が増えてきたのは、このような生活環境と関わりがあります。

 夏は暑さから、つい冷たい飲み物を取りがちです。最近、増えている熱中症は、この冷たい飲み物と関連があるという説があります。よく冷えた氷水などを飲むと胃腸の温度が下がります。すると体は恒常性を保つために、体中の血液を胃腸に集めて体温を元に戻そうとします。一方では、汗をかいて水分不足の状態になります。結果として、血液が脳や大事な臓器にスムーズに流れなくなり、熱中症の諸症状が起きると考えられるのです。

 熱中症を防ぐには水分補給が不可欠ですが、その温度には注意が必要です。特に高齢者の方は、気をつけてください。温度は、井戸水くらいの15度までを目安としましょう。

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丁宗鐵

日本薬科大学学長

てい・むねてつ 1947年東京生まれ。医学博士。横浜市立大学医学部卒業。同大学大学院医学研究科修了。79年から81年まで米国スローン・ケタリングがん研究所に客員研究員として留学。日本東洋医学会漢方専門医・指導医。北里大学・東洋医学総合研究所研究部門長、東京大学大学院客員教授、東京女子医科大学特任教授を経て現在、日本薬科大学学長、百済診療所院長。近年の著書に「丁先生、漢方って、おもしろいです。」(朝日新聞出版)、「病気がイヤがる暮し方 江戸式健康心得」(春秋社)、「ガンが逃げ出す漢方力」(ヴィレッジブックス)など。