赤ちゃん学へようこそ

人間を「人間らしく」育てるために必要なこと

鈴木敬子・毎日新聞 医療プレミア編集部
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 連続講座「赤ちゃん学入門講座~ヒトのはじまりを科学で探る~」(同志社大学主催)の内容を紹介する連載第9回のテーマは、「進化に学ぶ子育て」です。人間の赤ちゃんの心と体、育ち方は、生物進化の産物といえます。そのルーツや、人間に最も近いチンパンジーとの比較から明らかになる人間の独自性について、竹下秀子・追手門学院大学心理学部教授が解説します。

 私たち人間も含め、現在生息している霊長類は約350種あります。現生霊長類の進化の系統概略図を見ていくと、大型類人猿と呼ばれるオランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボのグループに人間も含まれます。なかでも人間はチンパンジー、ボノボの系統に最も近く、彼らの行動や生態を研究することが、人間の心の発達進化を理解するうえでとりわけ有効な方法と言えるでしょう。チンパンジー、ボノボを含め、人間を人間以外の動物から峻別(しゅんべつ)する特徴が直立二足歩行だと考えられています。

 通常、チンパンジーもボノボも地上では四足歩行をします。しかし、京都大学霊長類研究所はアフリカのチンパンジーが直立二足歩行する様子を記録しました。映像によれば、チンパンジーは両手いっぱいに食料のナッツを抱え、口にもくわえ、左足にはナッツを割るための石もつかんでいました。このように、たくさんのものや価値のあるものを運ぶ時、またそこに競争相手が多くいる時、チンパンジーには直立二足歩行が起こりやすいと報…

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鈴木敬子

毎日新聞 医療プレミア編集部

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜・川崎支局を経て、15年5月からデジタルメディア局。