無難に生きる方法論

中高年のうつとゴルフ衰退の深い関係

石蔵文信・大阪大学招へい教授
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 この20年でゴルフ人口は3分の2以下となり、ゴルフの市場規模は半減したらしい。大手スポーツ用品メーカーのナイキも昨年、ゴルフの主要な道具からの撤退を表明した。バブル時代、休日のラウンドは3万円以上が当たり前で、それでも超満員であった。先日、平日にゴルフに行ったところ昼食付きで5000円程度でラウンドできた。コースもすいていたので、経営が厳しいのではないかと感じられた。プロに目を転じれば、女子プロゴルフの宮里藍選手が引退を表明。一方でボディーラインを強調した韓国の女子選手のような過剰サービスがおじさまたちの人気を集めているのは、ゴルフ衰退の危機感の表れかもしれない。今回は、そうしたゴルフの衰退に、過重労働などによって引き起こされるうつが関与しているかもしれないという話である。

 私の更年期外来受診者には、バブル崩壊後もゴルフを楽しんでいた人が多い。彼らは企業のオーナーや中間管理職で、受診前には毎週ゴルフを楽しんでいたようだ。仕事も余暇も楽しんでいた彼らだが、過重労働などからうつ状態に陥れば、ゴルフどころではないのは当たり前である。休養と薬物療法で回復して仕事を順調にこなすまでの状態に戻るには、2~3カ月以上はかかる。

 うつ状態の頃には悪性腫瘍(がん)ではないかと思われるくらい痩せていた人が、うつを脱して食欲が回復すると立派なメタボ体形になる。このような体重増加は中高年男性がうつから回復すると必ずといってよいほど起こる。さらに、血液検査をすると、うつ状態の時は全くの正常値だったコレステロールや尿酸が、体重増とともに標準値を突破する。このような患者さんが非常に多いので、抗うつ剤を減量する時期には脂質や尿酸の改善薬…

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石蔵文信

大阪大学招へい教授

いしくら・ふみのぶ 1955年京都生まれ。三重大学医学部卒業後、国立循環器病センター医師、大阪厚生年金病院内科医長、大阪警察病院循環器科医長、米国メイヨー・クリニック・リサーチフェロー、大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻准教授などを経て、2013年4月から17年3月まで大阪樟蔭女子大学教授、17年4月から大阪大学人間科学研究科未来共創センター招へい教授。循環器内科が専門だが、早くから心療内科の領域も手がけ、特に中高年のメンタルケア、うつ病治療に積極的に取り組む。01年には全国でも先駆けとなる「男性更年期外来」を大阪市内で開設、性機能障害の治療も専門的に行う(眼科イシクラクリニック)。夫の言動への不平や不満がストレスとなって妻の体に不調が生じる状態を「夫源病」と命名し、話題を呼ぶ。また60歳を過ぎて初めて包丁を持つ男性のための「男のええ加減料理」の提唱、自転車をこいで発電しエネルギー源とする可能性を探る「日本原始力発電所協会」の設立など、ジャンルを超えたユニークな活動で知られる。「妻の病気の9割は夫がつくる」「なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか エイリアン妻と共生するための15の戦略」など著書多数。