人類史からひもとく糖質制限食

誰もが知りたい酸化ストレスと老化の関係

江部康二・高雄病院理事長
  • 文字
  • 印刷

 前回は糖化と老化の関係について考えてみました。今回は酸化ストレスと老化の関係について考察してみます。

 物質が電子を失うことを酸化といいます。逆に電子を獲得するのが還元です。物質間の電子の受け渡しは同時に起こるので、これらの反応を「酸化還元反応」と呼びます。

 ヒトを含めたほぼ全ての動物は、生きるために酸素を必要とする好気性生物です。例えばヒトは、呼吸で酸素を取り込み、食物を食べて栄養素を体内に取り入れ、酸化還元することによってエネルギーを獲得しています。これを「エネルギー代謝」といいます。その中で実際にエネルギーを作り出しているのが、赤血球を除く全ての細胞の中に存在するミトコンドリアです。つまり、ミトコンドリアは細胞内のエネルギー生産装置なのです。

 毎日24時間、ミトコンドリアは常に活動し続けており、人体にエネルギーを供給してくれています。その活動により酸素分子が還元されることで発生するのが活性酸素です。活性酸素は他の物質を酸化する能力が高く、本来はエネルギー生産、侵入異物攻撃、不要な細胞の処理、細胞情報伝達などに使われる有用なものです。しかし、残留すると健康な細胞を酸化してしまう有害物質になります。そのため、生体には活性酸素を無害化する抗…

この記事は有料記事です。

残り1309文字(全文1837文字)

江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。