40代からのアクティブ体づくり講座

長く歩けなくなる病気 腰部脊柱管狭窄症

萩野浩・鳥取大学教授
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 年齢を重ねるにつれ、「腰が痛い」という同年代の人を周りでよく見かけるようになりませんか。腰に痛みを伴う疾患はいろいろあり、症状の出方も原因もさまざまです。その一つが「腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」で、前々回紹介した「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」に比べて中高年世代により多くみられます。さほど強くはないものの、背筋を伸ばして歩くと痛みが出る、太ももから膝より下にしびれや痛みが出て歩きづらくなる、という症状が特徴です。今回はこの疾患の症状と原因、治療法について説明します。

 「腰部脊柱管狭窄症」は、その名の通り、脊椎(背骨)のうち腰の部分の「脊柱管」にトラブルを抱えて起こる病気です。脊柱管は、椎骨(ついこつ)、椎間板、関節、黄色靱帯(じんたい)などで囲まれ、脳と末梢(まっしょう)器官との間の信号を伝える脊髄や「馬尾(ばび)」と呼ばれる神経の通り道です。「腰部脊柱管狭窄症」は、この「トンネル」が狭くなることで、その中を通る神経や血管を圧迫するために引き起こされる病気です。60~70歳ごろに多く発症します。

 この病気を引き起こす主な原因は、三つあります。その一つが、脊柱管のそばにある黄色靱帯が、長年使い続けることで厚くなり、脊柱管側に飛び出て脊柱管を狭くする場合です。二つ目として、加齢や労働などによって椎間板に負担がかかることで傷んだ椎間板が膨らみ、脊柱管側に飛び出て脊柱管を狭くすることがあります。三つ目は、加齢で長年負担のかかった椎体が変形して骨棘(こつきょく)となり、脊柱管に飛び出してきて脊柱管…

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萩野浩

鳥取大学教授

はぎの・ひろし 1982年鳥取大学医学部卒業。同学部整形外科助手、講師、付属病院リハビリテーション部長などを経て現在、医学部保健学科教授(付属病院リハビリテーション部長兼務)。専門は骨粗しょう症、関節リウマチ、運動器リハビリテーション。特に骨粗しょう症治療の経験が深く、国際骨粗鬆(しょう)症財団(IOF)アジア太平洋地域代表、日本骨粗鬆症学会理事など要職を務める。保健師、看護師、臨床検査技師などを対象に骨粗しょう症診療のコーディネイター役「骨粗鬆症マネージャー」を養成する日本骨粗鬆症学会のレクチャーコースでは講師役も務める。著書に「骨粗鬆症治療薬の選択と使用法―骨折の連鎖を防ぐために」(南江堂)など。