ER Dr.の救急よもやま話

救急医の燃え尽きも防ぐ 夜勤職場の睡眠法

志賀隆・国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)
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 前回は「もう迷わない!救急病院 選び方のポイント」について解説をしました。今回はちょっと趣向を変えて、シフトワーカーの睡眠について解説をしたいと思います。

 救急医として働く上で、通常の診療時間外に勤務する「当直」「夜勤」や、日中と夜間の勤務を交代で担当する「シフト」で働くことは不可避です。若くて体力があった頃には何度でも耐えることのできた当直や夜勤などの勤務も、年齢が上がるとともに負担になっていくのも事実です。どうしてでしょうか? それは、通常なら睡眠に充てられる時間に覚醒して仕事をするため、当直や夜勤は睡眠サイクルに悪影響を与えるからです。とはいえ、「困った人を助ける」という仕事上、世間の皆さんが寝静まった時間帯でも、誰かが働かなくてはなりません。そのような勤務体系で、できるだけ負担を減らし、疲労を蓄積しないためにはどうすればいいでしょうか。

 シフト勤務で日勤の中に夜勤や当直が混じるような働き方をしている時は、生活時間の変動幅を最小限にする必要があります。読者の中には、徹夜など苦にならないと豪語される方もいると思います。しかし実際には、何の対策も施さずに漫然と1カ月の間日勤と夜勤を交互に繰り返すと、ボディーブローのように疲労が蓄積するものなのです。また夜勤が終わる間際の時間帯はどんな人でも集中力が散漫になり、ミスが起こりやすいことも知られています。

 救急医に限らず、夜に勤務せざるを得ない人にとって睡眠対策の重要なポイントは(1)アンカースリープ(2)夜勤中、夜勤後の睡眠(3)分割睡眠--の三つです。それぞれについて解説していきましょう。

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志賀隆

国際医療福祉大医学部救急医学教授(同大病院救急医療部)

しが・たかし 1975年、埼玉県生まれ。2001年、千葉大学医学部卒業。学生時代より総合診療・救急を志し、米国メイヨー・クリニックでの救急研修を経てハーバード大学マサチューセッツ総合病院で指導医を務めた救急医療のスペシャリスト。東京ベイ・浦安市川医療センター救急科部長などを経て20年6月から国際医療福祉大学医学部救急医学教授(同大学病院救急医療部)。安全な救急医療体制の構築、国際競争力を産み出す人材育成、ヘルスリテラシーの向上を重視し、日々活動している。「考えるER」(シービーアール、共著)、「実践 シミュレーション教育」(メディカルサイエンスインターナショナル、監修・共著)、「医師人生は初期研修で決まる!って知ってた?」(メディカルサイエンス)など、救急や医学教育関連の著書・論文多数。