生命の時計から考える健康生活

発達障害患者に見られる睡眠障害の原因と対策

柴田重信・早稲田大学教授田原優・カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教
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 前回、前々回は、老年期のアルツハイマー病に見られる睡眠障害、体内時計の乱れ、さらにその予防・改善方法についてお話ししました。生活リズムを整えることが、認知症の進行予防につながる可能性があることも紹介しました。今回は、幼年期の神経の発達時に起こる疾患に着目してみたいと思います。特に、自閉症やアスペルガー障害などの自閉スペクトラム症(ASD)では、高い割合で不眠などの睡眠障害が見られます。これらの症状は体内時計の乱れと関係しているのでしょうか。ここでは、原因とその対処方法を考えてみたいと思います。

 自閉症、アスペルガー障害などを統合して自閉スペクトラム症と呼びます。国内では100人に1人の割合、欧米では60~70人に1人の割合で発症し、女性よりも男性で4、5倍多い疾患です。20年ほど前は、1000人に1人程度の割合だったのに対し、近年は親の発達障害に対する認知度が上がったことで医療機関などへの相談が増えたことも手伝い、急速に患者数が増えています。

 ASDは、3歳くらいまでに症状が表れる発達障害です。大きく分けて、社会性の欠如や対人障害▽言葉の発達遅れ▽常同的、反復的な行動--の三つの症状があります。例えば、他の子と一緒に遊ぶことがうまくできず、あることにこだわり、その行動を何度も繰り返す、といった症状が特徴です。

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柴田重信

早稲田大学教授

しばた・しげのぶ 1953年生まれ。九州大学薬学部卒業、薬学研究科博士修了。九州大学助手・助教授、早稲田大学人間科学部教授などを経て、2003年より早稲田大学理工学術院教授。薬学博士。日本時間生物学会理事、時間栄養科学研究会代表。時間軸の健康科学によって健康寿命を延ばす研究に取り組む。専門は時間栄養学、時間運動学とその双方の相乗効果を健康に活かす商品・プログラム開発。田原助教との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。

田原優

カリフォルニア大学ロサンゼルス校助教

たはら・ゆう 1985年生まれ。早稲田大学理工学部、同大学大学院先進理工学専攻卒業。博士(理学)。早稲田大学助手を経て、2015年より早稲田大学高等研究所助教、17年1月よりカリフォルニア大学ロサンゼルス校医学部助教。07年より、柴田重信教授と共に、時間栄養学研究の確立に取り組んできた。また、発光イメージングによるマウス体内時計測定、ストレスによる体内時計調節などの成果も発表している。常にヒトへの応用を意識しながら、最先端の基礎研究を行っている。柴田教授との共著に「Q&Aですらすらわかる体内時計健康法-時間栄養学・時間運動学・時間睡眠学から解く健康-」(杏林書院)。