実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

膀胱炎は“研修医レベル”の治療でOK?!

谷口恭・太融寺町谷口医院院長
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 細菌感染による膀胱(ぼうこう)炎は、抗菌薬を用いて治療します。どのような抗菌薬を用いても治らないような細菌感染症は(ほとんど)ありませんから、治療のポイントは「抗菌薬の種類と量の選択」ということになり、ここが医師の腕の見せ所です。症例を紹介しましょう。

【症例】40代女性 Nさん

 うつ病を患いある大学病院精神科に通院中。1カ月以上前から膀胱炎があり、精神科の担当医に抗菌薬を処方してもらっているが一向に治りません。それまでに使用した抗菌薬はすでに3種類にもなっていました。「お薬手帳」を見せてもらうとニューキノロン系が2種類と第3世代のセフェム系が1種類。精神科では治らないのではないかとNさん自身が判断して太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)を受診しました。

 この症例に対して私がどのようにアプローチしたかを説明していきましょう。まず、膀胱炎は問診でほぼ診断がつきます。夜間頻尿、残尿感、排尿時痛などがあればかなりの確率で膀胱炎を起こしています。もしも高熱や背部痛があれば膀胱炎が進行した腎盂(じんう)腎炎の可能性がありますが、幸いなことにNさんの状態はそこまで至っていません。

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谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト