医をめぐる情景

医師ががんになったら患者の痛みがわかるか

上田諭・東京医療学院大学教授
  • 文字
  • 印刷

テレビドラマ「白い巨塔」(2003年)

 医師は患者の痛みと気持ちを簡単にはわからない。患者が苦しいと訴えたとき、どれほどその訴えに共感し、理解できるか。その「技量」は、診療や手術の腕と同じくらい重要なものだ。しかし残念なことに、医師の中には患者の痛みと気持ちに寄り添えない者、それよりも診療や手術の腕を優先し、栄達を得ることを優先しようとする者もいる。そんな医師でも「患者の痛み」を思い知る瞬間があるとすれば、それは自分が患者になったときである。かたくなだった医師が、病の痛みの真実を初めて知り、それまでの自分を悔い改める。

 テレビドラマ「白い巨塔」は、そんな展開をなぞるかのような物語 だ。大学医学部の教授選をめぐる内幕、…

この記事は有料記事です。

残り1696文字(全文2008文字)

上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。