教養としての診断学

権威が妨げた産褥熱予防とアンナ・カレーニナ

津村圭・府中病院総合診療センター長
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診断学は時空を超える【4】

 小説には、その時代の風俗が的確に描かれています。架空の人物である源氏物語の葵の上が「肺塞栓(そくせん)症」で急死したのではないか、と以前の記事「葵の上はなぜ死んだのか?」で指摘しました。今回は、海外の古典文学に目を向けてみましょう。小説「アンナ・カレーニナ」は、「戦争と平和」と並ぶ帝政ロシアの作家トルストイの代表作です。1870年代のロシアを舞台とし、主人公アンナの不倫を軸に物語が展開します。この物語に現在も使われている病名が出てきます。

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津村圭

府中病院総合診療センター長

つむら・けい 大阪府出身。1977年大阪市立大学医学部を卒業後、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)に心臓内科レジデントとして勤務。その後の28年間は大阪市立大学医学部教員として、学部学生、大学院学生、研修医、指導医、教員の指導と医学部カリキュラムの企画と作成に携わった。診療面では循環器内科をベースとしつつ、早い時期から原因疾患の判別が困難な症例で、診断を担当する総合診療医として従事。研究面では、各種疾病のリスクファクターについての臨床疫学研究を行い、ランセット(Lancet)など欧米医学誌で発表してきた。2014年1月から現職。総合診療医として地域医療に関わるとともに、初期、後期研修医の指導を担当、臨床研修室顧問も兼任する。地域医療を充実させるため院内に家庭医療専門医後期研修プログラムを立ち上げるなど、診療と教育をリンクさせた活動を現在も続けている。府中病院ウェブサイト