この連載の「女性特有の『骨盤臓器脱』最適な治療法は」で、骨盤臓器脱の手術について説明しました。そして、「メッシュ手術」の問題点や海外での動向について触れました。今回は、骨盤臓器脱の治療法の一つとして見直されつつある「ペッサリー」についてお話ししたいと思います。

 まず、骨盤臓器脱についておさらいしましょう。

 骨盤の一番下には、内蔵を支える強靭(きょうじん)な膜があります。この膜は、いくつもの筋肉の集合体で骨盤底といいます。出産、肥満、運動不足などが原因で、骨盤底の一部にだけ大きな力がかかると、筋肉の繊維が伸びたり切れたりしてしまいます。更年期前までは、一部が傷ついても周りの筋肉がカバーするのですが、徐々に女性ホルモンが低下するにつれて、骨盤底全体の筋肉が弱まり、内臓を支えることができなくなります。

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奥井識仁

よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長

おくい・ひさひと 1999年東京大学大学院修了(医学博士)後、渡米し、ハーバード大学ブリガム&ウイメンズ病院にて、女性泌尿器科の手術を習得する。女性泌尿器科とは、英語でUrogynecology。“Uro”は泌尿器科、“Gynecology”は婦人科を意味し、“Urogynecology”で、両科の中間にあたる部門という意味がある。都内の複数の大学病院から専門領域の診療に関する相談を受けながら、「よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック」を運営し、年間約800件の日帰り手術を行っている。水泳、マラソン、トライアスロンなどのスポーツ、音楽(サックス演奏)が趣味で、さまざまなスポーツ大会にドクターとして参加している。著書に「人生を変える15分早歩き」「ドクター奥井と走るランニングのススメ」(いずれもベースボールマガジン社)など。