人類史からひもとく糖質制限食

糖尿病合併症 「米国で減」「日本で増」のなぜ

江部康二・高雄病院理事長
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 米国では、糖尿病合併症の発生率が、1990~2010年の20年間で急速に低下したといいます。米国の研究チームが2014年4月、米医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」に論文を発表しました。

 論文によると、20年間に▽急性心筋梗塞(こうそく)は67.8%▽高血糖症による死亡は64.4%▽脳卒中は52.7%▽下肢切断は51.4%▽末期腎不全は28.3%--とそれぞれ発生率が減少しているのだそうです。

 では、日本はどうでしょうか。日本糖尿病学会が、第56回日本糖尿病学会年次学術集会で発表した「熊本宣言2013」に以下の記載があります。

 「糖尿病網膜症による失明者は年間3000人以上(新規失明者の約18%)、糖尿病腎症による新規透析導入者は年間1万6000人以上(新規透析導入の約44%)、糖尿病足病変による下肢切断者が年間3000人以上(全切断患者の40~45%)であると報告されており、糖尿病合併症で苦しむ患者さんの数は今なお減少していません」

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江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。