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不適切なものさしで結果にずれ…情報バイアス

北澤京子・医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授
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姉妹の会話

妹「ダイエットしたのに体重が変わらないなんてショック!」

姉「どれどれ……ダイエット開始前60kg、今も60kgね」

妹「1kgくらい痩せていてもいいはずなのに……」

姉「あれ、知らなかった? このはかりは体重専用じゃないから、5kg単位でしか量れないのよ」

妹「それじゃ、1kg痩せても数字に出ないのね。早く言ってよ!」

 調査・研究に伴うバイアスとして、前回紹介した「選択バイアス」と並んで重要なのが「情報バイアス」(「測定バイアス」ともいう)です。情報バイアスは、測定した値が真の値から系統的にずれてしまうことを指します。ここで「系統的に」というのは、「一貫して、一方向に多く(または少なく)」という意味です。同じ人が体重を何度も繰り返して測定すると、値がわずかに重くなったり軽くなったりしますが、これはあくまで「誤差」であり、バイアスとは言いません。

 情報バイアスは、測定する「ものさし」が、実際に測りたいものに合っていない場合に生じます。冒頭の会話でも、ダイエットを頑張っている妹にしてみれば、1kgでも痩せたこと(ダイエットの成果=測りたいもの)を目で見て確認したいのに、5kg単位でしか測れないはかり(ものさし)ではそれが分かりません。

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北澤京子

医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

きたざわ・きょうこ 医療ジャーナリスト、京都薬科大学客員教授。著書に「患者のための医療情報収集ガイド」(ちくま新書)、訳書に「病気の『数字』のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問」(日経BP社)、「過剰診断:健康診断があなたを病気にする」(筑摩書房)