口から考える命と心と病

朝の口の不快感は細菌の生存戦略が原因

落合邦康・日本大学特任教授
  • 文字
  • 印刷

 寝る前にきちんと歯を磨いても、朝起きた時には口の中がネバネバして気持ち悪くなっています。なぜそうなってしまうのか不思議ではありませんか? 今回はその疑問にお答えしましょう。

歯を保護するペリクル

 歯の表面は硬いエナメル質でできています。エナメル質の成分はハイドロキシアパタイトというカルシウムの結晶です。ハイドロキシアパタイトは物を吸着する性質があり、唾液に粘り気を与える糖たんぱく質のムチンを強力にくっつけています。

 ムチンは前回の「腸内細菌はほぼ無害、口腔細菌は有害のわけ」でお話ししたように、ドジョウやウナギの表…

この記事は有料記事です。

残り1859文字(全文2118文字)

落合邦康

日本大学特任教授

おちあい・くにやす 1973年、日本大学農獣医学部(現・生物資源科学部)獣医学科卒業。73年に日本大学松戸歯科大学(現・松戸歯学部)で副手(研究助手)となり、口腔(こうくう)細菌の研究を始める。75年に松戸歯学部助手に就任し、78~80年は米国University of Alabama at Birminghamへ留学。82年に歯学博士号を取得した。87年に松戸歯学部講師、2000~05年に明海大歯学部教授、05~15年に日本大学歯学部教授を歴任。15年4月から日本大学歯学部特任教授。エイズやインフルエンザ、アルツハイマー病と歯周病菌の関係、口腔細菌と腸内細菌の関係など、独創的でありながら人々に身近な研究で注目されてきた。著書(監修、共著)に「腸内細菌・口腔細菌と全身疾患」(シーエムシー出版)や「口腔微生物学―感染と免疫―」(学建書院)など。