髪の健康相談室

甲状腺の病気、糖尿病でも毛が抜ける!

齊藤典充・横浜労災病院皮膚科部長
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 女性の薄毛や脱毛の中で、前回お話しした膠原病(こうげんびょう)に次いで多いのは、甲状腺の病気です。さらに全身の病気では、糖尿病、鉄欠乏性貧血、今の時期に増える風邪やインフルエンザなどによる体力の消耗や食事の内容も髪の毛と関係があります。髪の悩みで皮膚科を受診された場合、薄毛や脱毛以外の症状が病気を突き止める手がかりになります。髪の症状をきっかけに、他の症状が表れていないかなどをよく診察し、診断や治療につなげていきます。

 甲状腺の病気で薄毛や脱毛が起きやすいのは、「甲状腺機能低下症」と「バセドー病」です。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの減少や作用不足によって、全身の新陳代謝が低下する病気です。バセドー病は甲状腺ホルモンの分泌が過剰になるもので、20~30代の女性に多く発症します。とても不思議なことに、甲状腺ホルモンは低下しても過剰になっても薄毛や脱毛の症状が起きます。

 髪の毛以外の主な症状としては、甲状腺機能低下症は、「だるい」「やる気が起きない」「汗の減少」「皮膚が乾燥しやすい」。バセドー病は、「疲れやすい」「動悸(どうき)がする」「たくさん汗をかく」「体重減少」「眼球の突出」などがあります。診察でいずれかの病気が疑われる時は、採血して血液中の甲状腺ホルモンを詳しく調べます。診断がついた場合は、原因となっている病気の治療を優先します。

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齊藤典充

横浜労災病院皮膚科部長

さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。