髪の健康相談室

処方薬で男性も脱毛 AGAで気づかぬことも

齊藤典充・横浜労災病院皮膚科部長
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 前回は市販薬でも薬の副作用による脱毛が起こることをお話ししました。それだけではなく、病気治療のために病院などで処方された薬でも起きます。このことは、髪の診療にかかわる医師以外は、あまり知らないと思います。薬による脱毛は女性にみられる要因の一つですが、男性にとっても無関係ではありません。男性はAGA(男性型脱毛症)に隠れていたり、重なったりして気づかないことがあるのです。中高年になると生活習慣病の治療薬などを飲む人が増えてきます。それらの薬の中にも脱毛を起こすものがあります。

 脱毛が起きる薬として、医師の間で知られているのは、「抗うつ薬」と「抗てんかん薬」ですが、これ以外にもいろいろな薬で脱毛が起こることがあります。患者さんからよく驚かれるのは、痛風の治療薬、高血圧の治療に用いる降圧薬、脂質異常症の治療薬、心筋梗塞(こうそく)などで血流を回復させる「ヘパリン」や「ワーファリン」などです。

 甲状腺の病気では、甲状腺ホルモンの分泌が過剰になるバセドー病と、低下する甲状腺機能低下症の両方で脱毛が起きる、と前々回(「甲状腺の病気、糖尿病でも毛が抜ける!」お話ししました。これらの病気では、治療薬が効きすぎても脱毛が起きます。さらに、甲状腺以外の治療薬で甲状腺の機能そのものに影響する薬もあります。

 また、薬の中には、髪に必要な亜鉛を低下…

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齊藤典充

横浜労災病院皮膚科部長

さいとう・のりみつ 1993年北里大学卒業、同大学皮膚科に入局。98~2000年米国カリフォルニア大学サンディエゴ校留学。国立横浜病院(現:国立病院機構横浜医療センター)皮膚科、北里大学皮膚科助手、講師、国立病院機構横浜医療センター皮膚科部長などを経て14年4月から現職。専門は脱毛症、血管炎、血行障害。日本皮膚科学会の脱毛症に関する診療ガイドラインの作成に携わるなど、長年、診療の第一線で脱毛治療・研究の分野をリードしている。