脳と心の再生カンファレンス フォロー

認知症リスクを上げる過度な糖質制限

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長

 インターネットの普及により、ある健康法が「体に良い」と発信されると、かつてとは比べ物にならないほど急速に、人々の間で広まるようになりました。一度そういった情報が広まると、老若男女が同じ方法を実践しようとブームが起きます。しかし、万人に有効な健康法というのはそうそうあるものではありません。

 最近、ご飯やパンなどの炭水化物の摂取量を制限する「糖質制限食」をダイエット目的で実践する人が増えているようです。これもそうした現象の一つだと感じています。しかし、糖質(炭水化物)が分解されてできるブドウ糖は脳にとって唯一のエネルギー源です。むやみに減らせば当然、脳に悪影響があります。

 そこで今回は、糖質制限食の是非を脳神経外科の観点からお話ししたいと思います。

この記事は有料記事です。

残り1624文字(全文1951文字)

くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。