医をめぐる情景

統合失調症と誤診された“幻聴とけいれん”の正体

上田諭・東京医療学院大学教授
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「彼女が目覚めるその日まで」全国ロードショー中/配給KADOKAWA ©2016 On Fire Productions Inc.
「彼女が目覚めるその日まで」全国ロードショー中/配給KADOKAWA ©2016 On Fire Productions Inc.

映画「彼女が目覚めるその日まで」(2016年)

 幻覚や妄想、躁(そう)うつなどの症状を、統合失調症に代表される精神病と診断するときには前提がある。それは、症状の原因となる身体疾患がないことだ。身体的な病気でも、精神病そっくりの症状が出ることがある。治療法があり短期間で完治できる身体疾患を、もし誤って統合失調症と診断したらどうなるか。治癒しないまま、間違った治療をずっと続けることになる。

 統合失調症は、10代後半から20代の人を中心に発症する精神疾患で、原因はわかっていない。完治しづら…

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上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。