
老化を促進する危険因子【1】
鉄がさびるのと同じように体も「さび」ます。これが酸化ストレスによる体の変化といわれるもので、病気を引き起こすこともあります。酸化ストレスとは「フリーラジカル」や「活性酸素」と呼ばれる不安定な物質が、体内の他の物質から電子を奪って酸化させることです。
酸化ストレスとは
酸化ストレスを起こす物質について説明しましょう。
全ての物質は原子からできており、原子は原子核とその周りをぐるぐる回る電子で構成されます。通常は二つの電子がペア(対電子)になって安定状態を保っています。しかし、電子が一つ欠けてしまう(不対電子)ことがあります。こうなると物質は非常に不安定な状態になり、周囲の分子から電子を奪って安定化しようとするのです。フリーラジカルとは不対電子を持つ原子や分子の総称です。
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同志社大学教授
よねい・よしかず 1958年東京生まれ。慶応義塾大学医学部卒業、同大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校留学。89年に帰国し、日本鋼管病院(川崎市)内科、人間ドック脳ドック室部長などを歴任。2005年、日本初の抗加齢医学の研究講座、同志社大学アンチエイジングリサーチセンター教授に就任。08年から同大学大学院生命医科学研究科教授を兼任。日本抗加齢医学会理事、日本人間ドック学会評議員。医師として患者さんに「歳ですから仕方がないですね」という言葉を口にしたくない、という思いから、老化のメカニズムとその診断・治療法の研究を始める。現在は抗加齢医学研究の第一人者として、研究活動に従事しながら、研究成果を世界に発信している。最近の研究テーマは老化の危険因子と糖化ストレス。
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