
福田淳一財務事務次官のセクハラ辞任、麻生太郎財務相の「セクハラ罪はない」発言、そしてセクハラ疑惑を指摘された高橋都彦・東京都狛江市長の辞職--“偉い人たち”のセクハラ炎上が続いている。21世紀とは思えないほどの“セクハラ感度の鈍さ”だ。
セクハラを職場の潤滑油、あるいは悪意のない冗談と主張する人がいるが、とんでもない。具体的な被害を伴う悪質な行為だ。
セクハラ被害者が人知れず心を病み、その結果会社を辞めていくことをみなさんはご存じだろうか。「辞めたくないから声をあげられない」「上下関係を壊したくないから黙っているしかない」と思い詰めて心を病み、なぜか被害者が「セクハラ失業」してしまう。セクハラにまつわる日本的組織の息苦しさの構造を探る。
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西川敦子
フリーライター
にしかわ・あつこ 1967年生まれ。鎌倉市出身。上智大学外国語学部卒業。釣り関連の編集プロダクション勤務、温泉仲居を経て、2001年から執筆活動。経済誌、新聞、人事関連雑誌などで、メンタルヘルスや家族問題、働き方をテーマに取材を続ける。著書に「ワーキングうつ」(ダイヤモンド社)など。