医療・健康Tips

もしも・・・に備える「防災食」

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東日本大震災で、海岸線一帯が津波で水没し、火災が発生した住宅=福島県相馬市で2011年3月11日午後5時25分、本社機から貝塚太一撮影
東日本大震災で、海岸線一帯が津波で水没し、火災が発生した住宅=福島県相馬市で2011年3月11日午後5時25分、本社機から貝塚太一撮影

常に「災害前」という意識を

熊本地震で、アパートの土台が倒壊した現場=熊本県益城町で2016年4月14日午後10時50分、野呂賢治撮影
熊本地震で、アパートの土台が倒壊した現場=熊本県益城町で2016年4月14日午後10時50分、野呂賢治撮影

 東日本大震災、熊本地震など、日本には震災がたびたび起こります。地震だけでなく、台風や豪雨、竜巻、大雪などの自然災害の心配もあります。大規模災害が起こると、電気や水道、ガス、通信、物流などのライフラインが寸断され、日常生活に大きな支障を来します。

 国や各自治体では、災害時の備蓄計画を立てていますが、最も大切なのは家庭内で備蓄することです。災害はいつ発生するかわかりませんので、誰もが被災者になる可能性があります。日頃から「いまは災害がくる前」という危機感をもって、飲料水や食料をしっかり備えましょう。

非常食から「いつもの食事」に

 私たちはふだん、食事から体に必要な栄養を確保したり、心の満足を得ています。非常食というと、カンパンやビスケットなどをイメージしがちですが、食べ慣れないものを食べ続けると、飽きてしまい、かえってストレスに感じたり、栄養が偏ったりします。

 災害時でも心身の健康を維持できる食事をとるには、より日常に近い食事ができるように、食品を準備しておくことが大切です。このような「防災食」があると災害時だけでなく、インフルエンザなどの感染症や病気、ケガなどで外出できないときにも役立ちます。

 また、せっかく備蓄していても、しまい込んでいて、いざというときに賞味期限切れになってしまっては台無しなので、ストック方法の工夫が必要です。

ポイントは「ローリングストック」

 災害時にいつもの食事をとれるようにするには、自分や家族がよく食べる食品を「ローリングストック」するのがおすすめです。

 ローリングストックとは、常温で保存できて食べ慣れている食品を普段から少し余分に準備しておき、食べたらその分を買い足していくという方法です。「ローリング(回転)」+「ストック(備える)」のサイクルができると、常に一定量の備蓄を維持することができます。

何をどのくらい備蓄したらいいの?

 備蓄する飲料水や食品は最低3日分必要ですが、広範囲に及ぶ災害などを想定して、最近は7日分以上の備蓄が推奨されています。

 健康維持に欠かせない水は、飲料用と調理用として、1日分1人あたり3リットルが目安となり、「3リットル×家族の人数×日数分」が必要です。

 食品は、栄養バランスを考えた食事がとれるよう、主食となるものを基本に、主菜や副菜となるもの、果物やその代わりとなるもの、さらに乳製品、菓子なども備蓄しておきましょう。

 また、高齢者や乳幼児、食物アレルギー、慢性疾患などのある人が家族にいる場合は、その状況に合わせた備蓄も忘れずに。また、自分や家族の好きな物は、少し多めに備蓄しましょう。

<備蓄する食品(例)>

●主食:米、アルファ化米、レトルトご飯、もち、麺類(そうめん、パスタなど)、小麦粉、シリアル、パンの缶詰、ホットケーキミックス、おかゆのレトルト食品など

●レトルト食品:カレー、牛丼、スープなど

●缶詰:魚介類、肉類、豆類、野菜類、果物類など

●瓶詰:らっきょう、ピクルスなど

●乾物:切り干し大根、わかめ、のり、高野豆腐、麩など

●常温で日持ちする野菜・果物:にんじん、じゃがいも、玉ねぎ、りんご、バナナなど

●乳製品:スキムミルク、粉チーズ、ロングライフ牛乳(常温で長期間保存可能な牛乳)など

●菓子:チョコレート、あめ、クッキー、ようかんなど

●調味料:塩、砂糖、しょうゆ、味噌、めんつゆ、マヨネーズ、ドレッシング、わさび、からし、おろししょうが、ごまなど

食品の保存は「分散備蓄」を

 防災食は1か所にまとめていると、災害時に周囲が壊れて埋もれたりした場合に取り出せなくなってしまいます。棚、引き出し、床下収納など、数か所に分散させて備蓄するとよいでしょう。また、家族でどこに備蓄してあるかを把握しておくことが大切です。

野菜や果物を上手にとろう

 災害時に不足しやすいのが、体の調子を整えるために大事な働きをしているビタミンやミネラル、食物繊維といった栄養素です。

 これらが多く含まれている野菜や果物をとるには、ジュース(野菜ジュース、トマトジュース、フルーツジュース)や野菜入りレトルトスープ、ドライパックのひじきやコーン、果物の缶詰、ドライフルーツなどを備蓄しておくのがおすすめです。

防災食をポリ袋だけで調理できるレシピ

 いざというときに慌てず食事をとれるようにするために、防災食の便利な調理法をぜひ知っておきましょう。火も水も使わず、ポリ袋を使って混ぜるだけの簡単なレシピを紹介します。

<鶏ささみと切り干し大根のマヨネーズ和え>

◎材料(作りやすい分量):鶏ささみ缶・・・1缶(80g)、切り干し大根・・・30g、マヨネーズ・・・大さじ1、おろししょうが・白ごま・・・各少々

◎作り方:ポリ袋に鶏ささみを缶汁ごと、その他の材料も全て入れてよくもんで、なじませる。

※すぐに食べると少し硬いですが、災害後はあえて硬い物もよく噛んで食べることをお勧めします。そうすることで唾液が出て、誤嚥性肺炎の予防になり、頭への血流もよくなります。硬いものが苦手な人や食べられない人は、2~3時間おくか、少し水分を足してください。

※ポリポリとした歯ごたえが楽しめ、食卓に一品加えたいときにもおすすめです。

調理に役立つアイテム

 電気やガス、水道などが止まっても食事をとれるようにするには、調理や食品の保存に必要なアイテムも備蓄しましょう。

●カセットコンロ、カセットボンベ

●ラップ、アルミホイル、クッキングシート、ポリ袋

●ウエットティッシュ、使い捨てポリエチレン手袋

●キッチンばさみ、ピーラー(皮むき器)

●クーラーボックス、保冷バッグ、保冷剤、新聞紙

--など

熊本地震で、水などの救援物資を受け取る人たち=熊本県益城町で2016年4月15日午前6時8分、津村豊和撮影
熊本地震で、水などの救援物資を受け取る人たち=熊本県益城町で2016年4月15日午前6時8分、津村豊和撮影

監修:今泉マユ子(管理栄養士、災害食専門員)

「みんなの健康ライブラリー」2017年3月掲載より (C)保健同人社

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