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麻疹原因の難病脳炎「SSPE」患者と家族の闘い

鈴木敬子・水戸支局
「大丈夫? 緊張しちゃったかな」。母洋子さんの問いかけに穏やかな表情を見せる辻海人さん(右)=東京都町田市で2018年5月21日、鈴木敬子撮影
「大丈夫? 緊張しちゃったかな」。母洋子さんの問いかけに穏やかな表情を見せる辻海人さん(右)=東京都町田市で2018年5月21日、鈴木敬子撮影

麻疹流行を繰り返さないために(後編)

 麻疹に感染すると、1週間~10日にわたって高熱が出る。体力を消耗し、合併症を引き起こすこともある。

 怖いのは、難病指定の「亜急性硬化性全脳炎(SSPE)」だ。主に乳幼児期に感染後、学童期になって中枢神経を侵す進行性の病気で、今も根本的な治療法はない。この病気と闘う辻海人(かいと)さん(19)=東京都町田市=の母洋子さんは「麻疹が流行しなくなればSSPEはなくなる。みんながワクチンを接種することで、接種できない人を守れる社会になってほしい」と訴える。

 SSPEは、麻疹が治った後も麻疹ウイルスが脳内に残り、潜伏中にSSPEウイルスに変異して、数年から十数年後に発症する神経の病気だ。発病率は麻疹にかかった人の数万人に1人ほどで、国内には現在およそ150人の患者がいるとみられている。患者の約80%は2歳未満で麻疹に感染していた。

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水戸支局

すずき・けいこ 1984年茨城県生まれ。法政大卒。2007年毎日新聞社入社。岐阜支局、水戸支局、横浜支局などを経て、15年5月から医療プレミア編集部。