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介入せず対象集団を見守る~前向きコホート研究

北澤京子・医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授
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 前々回紹介した、予防法や治療法の効果に関する情報、言い換えれば「○○が××に効く」という類いの情報を評価する研究デザインとして、「ランダム化比較試験(RCT)」と「前向きコホート研究」が挙げられていました。ランダム化比較試験については何度か紹介(「厳密評価を可能にする『ランダム化』」など)してきましたので、今回は、前向きコホート研究を紹介します。

 「コホート」とは聞き慣れない言葉ですが、疫学研究では「ある期間追跡される、特定の目的のために選ばれた個人の集まり」(「ロスマンの疫学:科学的思考への誘い」篠原出版新社)と定義されています。もとは古代ローマ時代の歩兵隊を意味する言葉だそうです。

 具体例で説明します。2000年に某診療所を受診した成人患者が1000人いたとしましょう(これがコホートです)。この1000人に対して食事の調査を行い、牛乳を飲む量によって、「牛乳を飲まない(300人)」、「牛乳を少し飲む(300人)」、「牛乳を多く飲む(400人)」の3群に分けました。2000年時点では当然ながら全員が生存しており、18年後に生きているか死んでいるかは分かりません。

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北澤京子

医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

きたざわ・きょうこ 医療ジャーナリスト、京都薬科大学客員教授。著書に「患者のための医療情報収集ガイド」(ちくま新書)、訳書に「病気の『数字』のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問」(日経BP社)、「過剰診断:健康診断があなたを病気にする」(筑摩書房)