医療プレミア特集

朝ドラ主人公の「難聴」予防接種をすすめる理由

中村好見・毎日新聞 医療プレミア編集部
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就職面接で右耳は聞こえることを説明する鈴愛=NHK提供
就職面接で右耳は聞こえることを説明する鈴愛=NHK提供

 NHK連続テレビ小説「半分、青い。」のヒロイン楡野鈴愛(にれの・すずめ)が左耳を失聴した「ムンプス難聴」。最近、おたふくかぜにかかった人の数百人~1000人に1人が発症する「まれ」な病気ではないことや、大人の発症も珍しくないことがわかってきました。唯一の予防法はワクチン接種ですが、日本では原則、全額自己負担の任意接種のままで、接種率も3~4割にとどまっています。一部または全額を助成する自治体も増えていますが、断続的な流行を抑えるとされる接種率8~9割にはほど遠いです。なぜこのような事態になっているのでしょうか。

 国立感染症研究所によると、2015年時点でワクチン定期接種をしている国は、発展途上国も含めて世界121カ国に上る。ワクチンの普及に伴い、世界的にはおたふくかぜの発生件数は激減。流行を繰り返しているのはエジプト、リビア以外のアフリカ諸国と、日本を含む東アジア地域の一部の国に限られてきつつあるという(※1)。

 ムンプス難聴の頻度について調査した小児科医グループのリーダーで、橋本こどもクリニック(大阪府茨木市)院長の橋本裕美医師は「先進国にもかかわらず4~5年ごとに流行を繰り返し、治療法のないムンプス難聴患者が出続けている日本の状況は、世界からみると異常だと言われます。東京五輪を前に、このままでよいのでしょうか」と話す。

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中村好見

毎日新聞 医療プレミア編集部

なかむら・よしみ 1984年生まれ。2008年に毎日新聞社へ入社、高松支局、和歌山支局を経て15年から医療プレミア編集部。幼少時に家族がくも膜下出血で倒れた経験から、医療とそれを取り巻く社会問題に興味を持つ。関心のあるテーマは公衆衛生、根拠と語りに基づく医療など。twitter:@yoshimi_nakamu