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牛乳と骨折の関係? 過去に向かって追跡~症例対照研究

北澤京子・医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授
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 前回紹介した前向きコホート研究は、ある特定の集団(=コホート)を、現在から将来に向かって追跡するタイプの研究です。ここで「現在から将来に向かって」というのが「前向き」の意味で、英語でいうとprospective(プロスペクティブ)です。では、逆の「後ろ向き」はないのかというと、あります。日本語で「後ろ向き」というと、「後ろ向きの姿勢」とか「後ろ向きの経営」など、「消極的」「悲観的」という意味で使われることが多いですが、臨床研究の「後ろ向き」には、そんなネガティブな意味はありません。

 後ろ向きの研究デザインとしてよく知られているのが「症例対照研究(ケース・コントロール研究)」です。前向きコホート研究が現在から将来に向かって追跡する研究なら、症例対照研究はその逆、つまり「現在から過去に向かって」追跡します。英語でいうとretrospective(レトロスペクティブ)です。

 前回と同じく、具体例で説明します(具体例といってもあくまで架空の例です)。2018年(現在)に、ある病院を受診した70代の女性のうち、主な病名が股関節骨折だった人が50人いたとします。彼女らが症例(ケース)です。そして、同時期に同じ病院を受診した同年代の女性のうち、主な病名が股関節骨折ではない人を200人選びます。彼女らが対照(コントロール)です。

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北澤京子

医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

きたざわ・きょうこ 医療ジャーナリスト、京都薬科大学客員教授。著書に「患者のための医療情報収集ガイド」(ちくま新書)、訳書に「病気の『数字』のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問」(日経BP社)、「過剰診断:健康診断があなたを病気にする」(筑摩書房)