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運動、食事、睡眠で「海馬縮小と認知症」を予防する

工藤千秋・くどうちあき脳神経外科クリニック院長

 最近、認知症への関心の高まりとともに、記憶に関わる「海馬」という脳の部位の名前を、読者の方々もよく耳にするようになったと思います。認知症について「加齢とともに『海馬』が縮小し始めると、認知症の発症につながる」と説明されたことのある人も多いのではないでしょうか。

 ところが「海馬とは何か?」について詳しく聞いた経験のある方は少ないようです。海馬とは、どのような器官なのでしょうか。また、海馬の萎縮を止めたり、緩めたり、場合によっては海馬を増大させたりすることは可能なのでしょうか。今回は、海馬の働きについて詳しく解説し、十分な運動や健康的な食事、睡眠という日常生活を改善することで、認知症を予防できる可能性についてお話ししたいと思います。

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くどうちあき脳神経外科クリニック院長

くどう・ちあき 1958年長野県下諏訪町生まれ。英国バーミンガム大学、労働福祉事業団東京労災病院脳神経外科、鹿児島市立病院脳疾患救命救急センターなどで脳神経外科を学ぶ。89年、東京労災病院脳神経外科に勤務。同科副部長を務める。01年、東京都大田区に「くどうちあき脳神経外科クリニック」を開院。脳神経外科専門医であるとともに、認知症、高次脳機能障害、パーキンソン病、痛みの治療に情熱を傾け、心に迫る医療を施すことを信条とする。 漢方薬処方にも精通し、日本アロマセラピー学会認定医でもある。著書に「エビデンスに基づく認知症 補完療法へのアプローチ」(ぱーそん書房)、「サプリが命を躍動させるとき あきらめない!その頭痛とかくれ貧血」(文芸社)、「脳神経外科医が教える病気にならない神経クリーニング」(サンマーク出版)など。